【Lofree HYPACE】入力遅延4.2ms!47g軽量ワイヤレスゲーミングマウスの実力をレビュー
ゲーミングマウス市場では性能とデザインの両立が求められていますが、Lofree HYPACEはその独特な形状と高性能なスペックで注目を集めています。細長く背の低い卵型デザインは従来のマウスとは一線を画し、特に大きな手のユーザーや「つかみ持ち」スタイルを好むゲーマーに最適化されています。ただし、この形状は万人向けではなく、特定のニーズに応える挑戦的な設計と言えるでしょう。
HYPACEは最大8,000Hzのポーリングレートと4.2msの入力遅延という競技レベルの性能を持ちながら、47gという軽量設計を実現しました。これにより、素早い動きと繊細な操作の両立を可能にしています。さらに、PAW3950センサーと3つの接続方式(有線・Bluetooth・2.4GHz無線)を採用し、様々な使用環境に対応します。
本記事では、HYPACEの形状がもたらす操作性と競合製品との性能比較を通じて、このマウスの特徴を詳しく解説していきます。読者の皆様は、HYPACEが自分のプレイスタイルや用途に合うかどうかを判断できるでしょう。結論として、HYPACEは独自のデザインと高性能を兼ね備え、特定のユーザー層にとって理想的な選択肢となっています。
Lofree HYPACEについて
Lofree HYPACEは、Lofreeが開発したゲーミンググレードの最新マウスです。左右対称の細身デザインを採用し、洗練された先進的な外観が特徴です。
公式サイトによると、本製品は最新のPAW3950センサーを搭載し、最大30,000 DPIと750 IPSのトラッキング速度を実現。サイズは121.41×62.7×37.94mm、重量はわずか47gの軽量設計となっています。
接続方式は有線・Bluetooth・2.4GHz無線の3方式に対応し、250mAhのバッテリーを搭載しています。
メインボタンのスイッチは、Kailh GM white blade micro switchを採用しています。このスイッチはクリッキータイプで、明確なクリック感と触覚的なフィードバックをもたらし、約1億回のクリック寿命を誇るとされています。専用ウェブソフトウェアでは、DPI(100~30000)、ポーリングレート(125~8000Hz)、デバウンスタイム、MotionSync、LOD(0.7/1.0/2.0mm)、省電力モードなど、詳細な設定のカスタマイズが可能です。
外見と特徴
形状とサイズ
Lofree HYPACEは、細長い卵型の左右対称形状で、従来のゲーミングマウスには見られない肉抜きの穴と流線型のデザインが最大の特徴です。卵型形状により、全体的に目立ったくびれがなくふっくらとした側面を持ち、マウス中央よりもわずかに後方が最も高くなるリアハンプと控えめな背の高さが特徴的です。また、親指と小指が触れる位置からマウス先端にかけての側面がフラットになっているため、指を置きやすく、多様な持ち方に対応できる設計となっています。
細身で長めの設計により、中~大サイズの手を持つユーザーに最適なサイズ感を実現しています。パームグリップ、クローグリップ、フィンガーチップグリップといった、様々な持ち方に対応可能です。マウスの背が低く、テール部が長いため、手のひらがテール部分に自然に当たり、適度な圧迫感で安定した保持を実現します。ただし、細身の形状のため、母指球側の保持力は比較的弱めとなっています。
剛性
Lofree HYPACEは、高品質なプラスチックシェルと内部のマグネシウムフレームを採用し、わずか47gという軽量ながら優れた耐久性と剛性を実現しています。本体を強く握っても歪みやたわみが発生せず、シェルの組み立て精度も高く、ねじれなどの問題は一切ありません。
構造面では、軽量化とデザイン性を両立した穴あき加工が施され、内部のマグネシウムフレームに外装パーツと基板をしっかりと固定することで、優れた構造的安定性を確保しています。これにより通常使用時の剛性問題を最小限に抑制し、Lofree HYPACEは軽量性と高剛性を両立。長期使用においても安定したパフォーマンスを維持します。
メインボタンとサイドボタン
Lofree HYPACEのメインボタンは、Kailh GM white blade micro switchを搭載し、約1億回のクリック寿命を誇ります。クリック前の遊び(プリトラベル)は長めに設計されており、適度な遊びを持たせたクリックが可能です。クリック感は非常にクリスピーで、優れた歯切れの良さを実現しています。
左右のメインボタンには、指の形状に合わせた滑らかな凹形状のフィンガーガイドが備わっており、自然な操作感を実現します。また、メインボタンは独立構造のため、左右側面のシェルと指が干渉することなく、どのようなグリップスタイルでもスムーズな操作が可能です。
サイドボタンは左側面に2つ配置されており、直線的でフラットな形状と適度な突起、自然な配置により、優れた親指操作性を実現しています。表面には滑り止め加工が施され、素早い操作時でも確実なクリックが可能です。さらに、適度なストローク深さと明確なクリック感により、遊びやガタつきのない優れた操作感を備えています。
センサー位置
Lofree HYPACEのセンサーはマウス本体の中央よりほんの少しだけ前方に配置されています。
この配置により、指先や手首を使った直感的なエイミングと繊細なコントロールがしやすくなりますが、効果は限定的です。筆者のような大きな手でつかみ持ちをした場合、センサー位置は側面を握る親指と小指を結ぶラインより前方に位置することが確認できます。
コーティング
Lofree HYPACEのコーティングは、サラサラとした心地よい手触りを備えていますが、手汗をかきやすい方には課題があります。汗をかき始めると、マウスの上部と側面が非常に滑りやすくなってしまい、グリップ力が大きく低下します。
Lofree HYPACEを長時間のオフィス用途またはゲーミング用途での使用を考えている場合は、サードパーティ製のグリップテープの併用を強くお勧めします。

LEDインジケータとレシーバー


Lofree HYPACEには2つのLEDインジケータがあります。マウス上面のメインボタン間に1つ、基板のバッテリー直下にもう1つです。どちらもシンプルな単色LEDで、RGBライティング機能はありません。上面のLEDはバッテリー残量と充電状態を、バッテリー直下のLEDは接続状態を表示します。
シェル底面の物理ボタンでDPIを変更しても、各LEDインジケータは連動して点灯しません。また、同梱のLED内蔵レシーバーはソフトウェアで指定したライティングパターンで光るのみです。DPIやポーリングレートの変更と連動したLED表示がマウス本体またはレシーバー側にあれば、視覚的な確認が容易になり、使い勝手が向上するため、この点は改善の余地があります。
スクロールホイール
Lofree HYPACEのスクロールホイールは、矢印状のトレッドパターンがエングレーブされたラバー製です。
直径約2.5センチの大口径設計により、指の腹全体で操作できるため正確なコントロールが可能です。この特徴はオフィス向けの細かい調整が必要な作業に適していますが、ケームなどの素早いスクロールが必要な場面では効率が低下し、指先での繊細な操作がしづらい面があります。
グリップ性は適度に備わっていますが、手汗をかくと滑りやすくなる傾向があります。ホイールはメインボタンより低めに配置されており、指先での操作性を重視した使いやすい設計となっています。
操作感は、明確なノッチ感と静音性を両立しています。抵抗感は程よいバランスで、快適な使用感を実現。ホイールクリックは押下時に明確なフィードバックがあり、確実なクリック感を提供します。
重量
Lofree HYPACEの重量は、実測値ともに48.7gという軽量な設計を実現しています。穴あけ加工による効果的な肉抜きとマグネシウムフレームの採用により、この軽量化を達成しました。
この軽量設計により、マウスの取り回しが格段に向上し、素早い動きから繊細な操作まで、より正確なエイミングが可能になっています。また、長時間のゲームプレイにおいても手首や指への負担が軽減され、快適な操作性を維持することが期待できます。特にFPSゲームなど、素早い動きが要求されるゲームジャンルにおいて、その恩恵を実感できる設計となっています。
バッテリー持ち
Lofree HYPACEは250mAhのバッテリーを搭載しており、通常使用時には優れた持続時間を実現します。
バッテリーの持続時間はポーリングレート設定により大きく変化します。1000Hz設定時は約75時間の連続使用が可能で、2000Hz設定では約53時間、4000Hz設定では約37時間まで減少します。最大の8000Hz設定では高負荷のため、約21時間程度の持続時間となります。
なお、これらの持続時間は実際の使用状況や各種設定により変動します。特にポーリングレートとセンサー設定が、バッテリー持続時間に大きな影響を及ぼします。
持ち方



「かぶせ持ち」は、手全体でマウスを包み込むように持つスタイルで、安定感が高く、特に手が大きなユーザーに最適な持ち方です。
「つかみ持ち」は、指先でメインボタンを操作し、手のひらと母指球でマウス後部を支える持ち方です。この持ち方では人差し指と中指の動きの自由度が高く、細かい操作が容易です。中~大サイズの手の大きさのユーザーに最適で、優れた操作性を発揮します。
「つまみ持ち」は、指先だけでマウスを操作する持ち方で、最も繊細な操作が可能です。本製品は47gという軽量設計ですが、全体的に細長く背が低く、テールが長めのデザインのため、小~中サイズの手の大きさのユーザーには持ちにくく、手の大きなユーザーに適した持ち方となっています。
ソフトウェア


Lofree HYPACEの設定は「lofree.tech」で行います。このウェブソフトウェアは、基本的な設定から高度なカスタマイズまで幅広いオプションを提供しています。基本設定では、DPI値を100から30,000まで50単位ずつ調整可能で、ポーリングレートは最大8000Hzまで設定できます。さらに、リフトオフディスタンス(0.7・1.0・2.0・Long Distance Mode)、デバウンス時間(0から15ms)、1000Hz時のモードセレクト(LP・HP)なども調整可能です。
ボタンカスタマイズでは、5個のプログラム可能なボタンを自由に設定できます。最大4つのプロファイルを保存でき、用途に応じて切り替えることができます。マクロ設定にも対応し、付属するドングルのライティングパターンは消灯を含む6パターンから選択可能です。さらに、バッテリー残量の確認や、低電力モードなど、電力消費に関する最適化も設定できます。
入力遅延測定
- 入力遅延測定の条件と免責事項等について(クリックで開きます)
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ゲーミングマウスの性能評価において、入力遅延の測定は重要な要素です。当サイトでは、NVIDIAが開発した遅延測定ツールLDAT(Latency Display Analysis Tool)を使用して、マウスの入力遅延を計測しています。LDATは、ゲームやアプリケーションにおけるクリックからマズルフラッシュまでの遅延を、迅速かつ正確に測定するツールです。
測定の仕組みは、光センサーをディスプレイ表面に取り付け、マズルフラッシュを検出します。測定したいマウスが実際にクリックされてからマズルフラッシュ発光までの時間を高精度で計測することで、マウスの実際の応答性能を客観的に評価できます。当サイトではこの測定における最小値を掲載しています。
ただし、マウスを総合的に評価する際は、入力遅延だけでなく、前述の形状、重量、ボタン配置なども重要な判断材料となります。LDATの測定結果と他の要素を総合的に分析することで、より自分に適したゲーミングマウスを選択できるでしょう。
他のゲーミングマウスの入力遅延データは、こちらで見れます【Lofree HYPACE】入力遅延4.2ms!47g軽量ワイヤレスゲーミングマウスの実力をレビュー免責事項等について免責事項・著作権
測定結果
Mouse Firmware:v2.17 Receiver Firmware:v2.15 Motion Sync:オン
LDATを用いてLofree HYPACEの入力遅延を測定したところ、wireless 2K設定時に最も優れた性能を示し、4.2msの入力遅延を記録しました。HIGHEST PERFORMANCE ONモードでは4.4-4.6msの安定した性能を発揮し、全体的な入力遅延は4.2ms~5.2msの範囲内に収まっています。
比較対象として、最高性能のScyrox V6は3.4ms(Competition Mode wireless 2K/8K設定時)を記録し、VAXEE x NINJUTSO SORAやLogicool Pro X Superlight 2も3.5-3.7ms台の性能を示しています。Lofree HYPACEはこれらのトップモデルと比べて0.8-1.0ms程度の差がありますが、4ms台の入力遅延は競技用として十分な性能です。一般的なゲームプレイでは、この差を体感できるユーザーは限られているでしょう。
使用シーンに応じて最適な設定が異なります。FPS等の競技ゲームでは、入力遅延と電力効率のバランスが取れた2000Hz設定での使用が推奨されます。一方、カジュアルゲームでは1000Hz設定で十分な性能を発揮します。また、長時間バッテリーを持たせたい場合は、1000-2000Hz設定での使用が推奨されます。
まとめ
Lofree HYPACEは、最新のテクノロジーと洗練されたデザインを組み合わせた次世代のゲーミングマウスです。左右対称の細長い卵型という独特な形状により、競合製品との差別化を図り、特定のユーザー層のニーズに応える製品となっています。
本体は47gの軽量ボディながら、内部構造の最適化により高い剛性を実現しています。最新のPAW3950センサーと最大8,000Hzのポーリングレートにより、極めて滑らかなカーソル移動を可能にしています。また、有線・Bluetooth・2.4GHz無線の3方式に対応しており、使用環境や好みに合わせて接続方式を選択できます。
マウスの表面処理については改善の余地が見られます。特にコーティングは、長時間のプレイで汗をかくとグリップ力が低下してしまいます。しかし、市販のグリップテープを使用することで簡単に解決できる問題です。
入力遅延は4.2-5.2msと測定され、競技シーンを含む一般的なゲーム用途には十分な性能を備えています。1000Hz設定時のバッテリー持続時間は約75時間で、長時間のゲームプレイにも安心して使用できます。
専用のウェブソフトウェアを使用することで、DPIやポーリングレートなど、詳細な設定をカスタマイズすることができます。本製品は細長く背の低いデザインを採用しており、特に大きな手のユーザーに最適化されています。一方で、小さな手のユーザーの方は、購入前に実際に製品を手に取って確認されることをお勧めします。











[サンプル提供:Lofree]
購入方法と販売店
今回レビューしたマウス

公称スペック
項目 | 仕様 |
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センサー | Focus X 26K オプティカルセンサー |
最大DPI | 26,000 |
トラッキング速度 | 500 IPS |
最大加速度 | 40G |
重量 | 約55g |
サイズ(長さ×幅×高さ) | 122.2mm × 66mm × 41.3mm |
接続方式 | Wireless / 有線(USB-A to C) |
バッテリー持続時間 | 1000Hz時:約100時間 8000Hz時:約20時間 |
ボタン数 | 5個 |
スイッチ | 第3世代光学式スイッチ |
スイッチ耐久性 | 9000万回 |
形状 | 右手用エルゴノミクス |
執筆者