【レビュー】ELECOM GAMING V custom VK520L 75%メカニカルゲーミングキーボード

エレコムが1月中旬に発売したハイクラス・ゲーミングデバイス「ELECOM GAMING V custom」シリーズの新型キーボード「VK520L」をレビューします。このキーボードは、独自のキーキャップ設計と75%サイズのコンパクト性を両立したメカニカルゲーミングキーボードです。価格は2万7,980円で、姉妹モデルにロープロファイル版の「VK520LL」があります。
製品概要と基本仕様
VK520Lは、テンキーやいくつかのキーを省略することで、フルキーボードと比べて本体サイズを75%ほどに小型化したゲーミングキーボードです。キーピッチはフルキーボードサイズの19mmを維持しつつ、コンパクト化を実現し、マウス操作のスペースも確保できる設計となっています。

接続方式は、「ELECOM GAMING V custom」シリーズとしては初の有線とワイヤレス両対応で、2.4GHz帯を使う独自のワイヤレス接続方式と、Bluetooth接続に加えて、有線接続の3つに対応しています。日本語配列を採用し、ゲームプレイと日本語配列に慣れた方のテキスト入力の快適さを両立している点も特徴的です。


独自のネオクラッチキーキャップ設計
VK520LをはじめとしたELECOM GAMING V customゲーミングキーボードの最大の特徴は、プロゲーマーを含む開発チームが手がけた独自のキーキャップ「ネオクラッチキーキャップ」の採用です。キートップの上側が丸くくぼんだラウンド形状となっており、これにより高速でキーを打ち込んでも指がずれにくく、操作ミスをしにくいという設計になっています。

ゲームプレイ中の各指のキーストローク角度を研究し尽くし、高速で打ち込んでも指がずれないようキートップをラウンドさせた設計は、FPSなど高速な指の動きが求められるゲームに最適化されています。
また、キーボード左下側のZキーからMキーは、左手親指での操作に最適化した形状を採用しており、FPSゲームの高速な指の動きにハマるキー形状・独自の配列を実現しています。

スペースバーカスタマイズ
付属品として、ロングスペースバーと無変換キー+ショートスペースバーが同梱されており、自分に合う方を選択できます。この機能により、プレイヤーの好みに応じたスペースバーの長さでプレイが可能です。


メカニカルスイッチとキー性能
キースイッチには、KailhのサブブランドであるLonghuaの赤軸メカニカルキースイッチを採用しています。キーストロークは4mmで、アクチュエーションポイントは1.9mmとなっており、軽い押し心地と深めのストロークが好みの方に適した仕様です。


ホットスワップでの交換も行えるため、ユーザーの好みに応じてキースイッチをカスタマイズすることが可能です。また、スペースキーのカスタマイズも可能で、スペースバーの長さを調整できる機能も搭載されています。


新開発のゲーミングエンジンにより、応答速度・精度・安定性を向上させており、キー入力における応答速度、精度、安定性を高めた設計となっています。
音響設計と快適性
吸音機能
キーボード内部にシリコン吸音パッド2枚、スポンジ吸音シート1枚の計3枚を搭載し、振動を抑制しています。これにより不快な金属音が少ない軽快な打鍵音を備えています。
角度調整機能
手の大きさや姿勢に合わせてキーボードの傾斜を6度・9度の2段階に変更できる角度調整スタンドを搭載しています。




カスタマイズ機能とソフトウェア
VK520Lは、全てのキーの機能割り当て変更が可能で、多彩で複雑な機能をEGToolで簡単に設定できます。Fnレイヤーの設定変更も可能で、よく利用する機能やショートカットをスムーズに呼び出すことができます。
1,677万色RGBライティングを搭載し、専用ソフトを使ってキー割り当てやライティングのカスタマイズが可能です。すべてのキーに、ゲーム環境を彩る1677万色RGBライティングを搭載しており、光り方のパターン、速度、色などを設定できます。
有線接続時は、3パターンのプロファイル切替が可能ですが、無線時はプロファイル1のみの対応となっています。



使用感
VK520Lを実際に手に取って使用してみると、75%サイズという絶妙なサイズ感により、デスク上のスペースを有効活用できるだけでなく、マウス操作時の手の移動距離が短縮され、ゲームだけではなく普段使いでも素早い反応ができて疲れにくいです。
キーを深く押し込んだときの感触は、メカニカルスイッチ特有のしっかりとした押下感がありながら、底打ちした際の衝撃が適度に吸収され、長時間のゲームプレイでも指への負担を感じにくい設計になっています。

振動についても極力少なく抑えられており、キーボード内部に搭載されたシリコン吸音パッド2枚とスポンジ吸音シート1枚の効果を実感できます。この振動抑制により、デスクへの振動伝達が最小限に抑えられ、深夜のゲームプレイでも周囲への配慮ができる点は非常に評価できます。
キー入力の精密さについては、独自の「ネオクラッチキーキャップ」の効果を強く感じました。特に高速でキーを連打する場面において、指のずれが明らかに少なく、意図しないキーの誤入力が大幅に減少しています。WASDキーでの移動操作や、複雑なキーコンビネーションを要求されるゲームにおいて、この精密さは大きなアドバンテージとなります。

キーボード本体の印象
VK520Lのキーボード本体を手に取った瞬間、まず感じるのはアルミパネルを採用した筐体の高い質感です。この素材選択により高い耐久性を実現しており、長期間の使用にも耐えうる堅牢性を感じさせます。また、落ち着いたマットな質感が上品な高級感を演出しており、ゲーミングデバイスでありながら洗練された印象を与えています。
しかし、実際に使用してみると、ホワイトとグレーのキーキャップカラーの組み合わせには若干の課題を感じました。この配色は確かに清潔感があり、多くのデスク環境に馴染みやすいものの、どこかレトロ感や事務用品的な印象が残ってしまいます。特に現代的なゲーミング環境やクリエイティブワークスペースにおいては、もう少しモダンで洗練された印象を与える配色が望ましいと感じられます。
個人的には、キーキャップをすべてオールホワイトに統一することで、より一体感のある美しい外観を実現できるのではないかと考えます。現在のグレーとの2トーン配色よりも、統一感のあるホワイト一色の方が、アルミパネルの質感とも相まって、より洗練された印象を与えることができるでしょう。
また、現在採用されているフォントについても改善の余地があると感じました。SFチックなデザインのフォントは確かにゲーミングデバイスらしい個性を演出していますが、実用性を考慮すると可読性の良いフォントへの変更が望ましいところです。特に長時間の作業やゲームプレイにおいて、キーの識別が瞬時に行えることは重要な要素であり、デザイン性と実用性のバランスを取った、より可読性に優れたフォント選択により、さらにあか抜けた印象を与えることができると思われます。
これらの改善により、VK520Lはより幅広いユーザー層に受け入れられ、デザイン面でも高い評価を得られる製品になる可能性を秘めていると感じました。
打鍵音の快適性
実際にタイピングしてみると、不快な金属音が少ない軽快な打鍵音を楽しむことができます。長時間の使用においても、この軽快な打鍵音は疲労感を軽減し、むしろタイピングの楽しさを感じさせてくれる要素となっています。特に夜間のゲームプレイにおいて、周囲への騒音を気にすることなく集中してプレイできる点は、実用性の高い特徴だと感じました。
V customシリーズとの位置づけ
VK520Lは、エレコムのハイクラス・ゲーミングデバイス「ELECOM GAMING V custom」シリーズの一製品として位置づけられています。同シリーズには、磁気式有線ラピッドトリガーゲーミングキーボードのVK720Aもあり、アクチュエーションポイント0.1〜2.3mmでFPS向けの超反応ラピトリゲーミングキーボードとして展開されています。
また、VK520Lは標準プロファイルモデルで、深めのストロークが好みの方に適している一方、ストロークが浅めで基本的な機能を搭載したゲーミングキーボードをお探しの方には姉妹モデルのVK520LLやロープロファイルラピッドトリガー機能を搭載したVK720ALがおすすめです。

総合評価
ELECOM GAMING V custom VK520Lは、独自のネオクラッチキーキャップ設計により操作ミスを防ぎ、75%サイズのコンパクト性とフルキーボードサイズのキーピッチを両立した優れたゲーミングキーボードです。3つの接続方式対応、ホットスワップ機能、豊富なカスタマイズ機能など、ゲーマーのニーズに応える機能を網羅的に搭載しています。
複雑なラピッドトリガー機能を搭載せず、赤軸リニアのメカニカルスイッチ(キーストローク4mm、アクチュエーションポイント1.9mm、動作圧50g)による確実で安定した入力感があり、ホットスワップ方式によるスイッチ交換機能、カスタマイズ可能なスペースバー、1677万色RGBライティングなど、ゲーミングに必要な基本機能は十分に備えています。
VK520Lは、過度に複雑な機能を求めず、確実な基本性能と日本語配列での快適なタイピング環境を重視するゲーマーにとって、理想的なゲーミングキーボードといえるでしょう。








[サンプル提供:エレコム株式会社]
