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KRAFTON、ADKグループを750億円で買収 ゲームとアニメの融合戦略

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 韓国のゲーム企業KRAFTON Inc.は6月24日、日本の大手広告代理店ADKグループの親会社を750億円で買収すると発表した。

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買収の概要

 KRAFTON Inc.は、「PUBG」などの人気ゲームを開発・運営する韓国企業である。同社は、ADKホールディングスの株式を保有するベインキャピタルの系列会社「BCJ-31」を買収することで、ADKグループをKRAFTONの連結系列会社とする。買収額は750億円(約7103億ウォン)である。

 今回の取引により、BCJ-31の筆頭株主が、ベインキャピタル・ジャパンが投資助言を行う投資ファンドが間接的に保有するBCPE Madison Holdgs CaymanからKRAFTONに異動する。

ADKグループの事業概要

 ADKは、2017年にベインキャピタルによるTOB(株式公開買い付け)を受けて2018年に非上場化した。当時の買収額は約1,500億円であった。2019年に「アサツー ディ・ケイ」から現社名に変更し、ホールディングス体制に移行している。

 同社は、TVや新聞、雑誌などのマスメディアを中心とした総合広告事業に加え、アニメコンテンツの企画、制作、広告、マーケティングなどに強みを持つ。「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」「プリキュア」シリーズなど、300本以上のアニメ制作委員会に参加した実績を有する。

 特にADKエモーションズは、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「ワンピース」「仮面ライダー」など国民的コンテンツを長年にわたって手がけており、キャラクターの版権管理からグッズ展開、イベント運営までをプロデュースしている。ADKは電通や博報堂と並ぶ日本の三大広告代理店の一角を担う存在である。

KRAFTONの戦略と狙い

 KRAFTONは今回の買収を、アニメとゲーム間の接点を増やし、日本国内のコンテンツ・メディア事業基盤を強化する中長期戦略の一環としている。ADKのアニメーション企画・制作能力とKRAFTONのグローバルゲーム開発・サービス実績を組み合わせ、コラボレーションを段階的に推進していく計画である。

 KRAFTONは2017年に『PUBG』で世界的ヒットを記録して以降、モバイル、PC、コンソールを横断するマルチプラットフォーム展開を進めてきた。近年は『inZOI』など新規IPの開発にも注力し、単一タイトル依存からの脱却を図っている。

 KRAFTON代表のキム・チャンハン氏は「両社の強みを有機的に融合させることで、グローバルなコンテンツビジネスにおける新たな機会を創造していきます」とコメントした。

既存の取り組みとの連携

 KRAFTON傘下のPUBG Studiosでは2021年から『PUBG』のアニメ化が進行中である。今回の買収により、ADKの映像制作力やマーケティング力が加わることになる。

 ADKグループは、ADKグループの広告・マーケティング事業や、特徴であるアニメ・コンテンツ事業と、KRAFTONの有するグローバルIPやネットワーク、テクノロジーおよび資金力等を活かした持続的成長を目指すと狙いを説明している。

今後の経営体制

 買収後も、ADKホールディングス、ベインキャピタル、KRAFTONの3社は、ベインキャピタルが出資を継続し、引き続きADKホールディングスの経営支援を行うとしている。

 この買収は、急成長するグローバルアニメーション市場に対応し、ゲームを中心としたIP戦略を強化するという目的で実施される。両社の協業により、ゲームとアニメなど、両社の強みを活かした新たなコンテンツビジネスの展開が期待される。

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