アーケードコントローラー
PR

「普及価格帯でもレバーの楽しさを」KASSAI担当者が語る、3万円台で実現した新アーケードコントローラーの狙い

Ernest

 フェルマーが運営する「ふもっふのおみせ」は8日、キーボードメーカーVARMILOと共同開発した新型アーケードコントローラー「KASSAI」の予約受付を開始した。

 今回編集部では、新製品の発売を受けて、ふもっふのおみせのケラさんにお話を伺った。計良さんは「2024年にVARMILOとの共作でレバーレスの『FK2』を発売した後、お客様から『レバーレスだけでなく、アーケードコントローラーも出してほしい』という要望を多数いただきました」と振り返る。この声に応える形で、今回の新製品開発に至ったという。

 KASSAIは5色のカラーバリエーションを用意している。価格はObsidian BlackとLunar Silverが3万1,980円、SakuraとSea Melodyが3万7,980円、Goldが4万4,980円となっている。PC版のほか、PS版(PC/PS4/PS5対応)も用意されており、PS版は9,000円の追加料金が必要だ。

VARMILO、新型アーケードコントローラー「KASSAI(喝采)」の予約受付を開始。3万1,980円から
VARMILO、新型アーケードコントローラー「KASSAI(喝采)」の予約受付を開始。3万1,980円から
スポンサーリンク

VARMILOの技術力を活かしたボタンの触感

 この商品の一番の売りについて、ケラさんは「ボタンの触感ですね。VARMILOのキーボードの触感の良さを知っていたので、それをアーケードコントローラーに活かせたことです。キーボード時代から知っていたVARMILOの触感の良さがより広く知られるようになることが嬉しいです」と語る。

ボタンはFK2よりも感触が向上していると記者も感じた

 ボタンには、VARMILOが独自に開発した素材「V-Silk(PBT)」を採用している。この素材はシルクのように繊細で、さらさらとした心地よい触感が特徴だ。同社の高級キーボードで高い評価を得た技術をアーケードコントローラーに応用したものである。ボタンサイズは直径22mm(リングスリーブ含め28mm)と一般的なアケコンに近いサイズに調整されている。

「V-Silk」を採用したボタン

普及価格帯のモデルとしての明確なコンセプト

 KASSAIのメインターゲットについて、ケラさんは「普及価格帯のモデルとしての位置づけで、これからアーケードコントローラーを使いたいという人をターゲットにしています。手に取りやすい価格帯にするため工夫しました」と説明する。

 この方針は、製品の設計思想にも反映されている。ケラさんは「ほかのアケコンとKASSAIの大きな違いは、カスタマイズして使ってもらうということよりも、買ってすぐに始められるようにしている点」がポイントといい、「箱から開けてすぐつないだら遊べる」製品設計を重視したという。

 本体サイズは318×212×47mm(レバー込み:110mm)、重量は2.48kgと小ぶりな設計でありながら、プレイ中のズレを防ぐ適度な重量バランスを実現している。持ち運びやすさを考慮した設計、増設ボタン、フルアルミボディの重厚感、独自のメンテナンス性など、細部にこだわり抜いた仕様となっている。

手前が従来モデルのFK2、奥がKASSAI。厚み以外、そこまで大きなフットプリントの差はない

 筐体設計についても独自のアプローチを取っている。ケラさんは「三和電子のレバーを採用することをベースに設計しました。カスタマイズすることは考慮せず、後方互換性を廃した設計としたからこそ、高さを抑えることができた」と、薄型化実現の理由を語った。

取り外せるレバーと画期的なボタン交換システム

 KASSAIは、格闘ゲーマーから高い信頼を集める三和電子製のレバーをベースにしたパーツを搭載している。レバーシャフトを上に引き上げてスライドさせるだけで、簡単に本体から取り外しが可能だ。取り付けも同様の手順で行える。取り外したレバーは本体裏面の専用収納スペースに格納でき、ボタンやメカクシキャップ、ダストカバー、工具なども一緒に収納できる設計となっている。

 取り外し可能なレバーは、三和電子純正品ではなく、VARMILOが三和電子のレバーをベースにモディファイしたものだ。レバートップは交換可能で、シャフトの長さを変えられる3パターンのオプションも検討しているという。

レバーはシャフト部をスライドさせて着脱する。通常使用ではまず外れないだろう

 なお、専用収納スペースはマグネット式のふたで固定されているが、引っ張るためのタブが透明のやや頼りなさげなプラタブなのが少し残念に感じた。「強度は十分にある」というが、本体の高級感にアンマッチな印象も受けた。

本体裏面に収納できる

 また、「ボタン交換機能の向上」も特徴だ。ケラさんは「FK2の時は筐体のネジを全て外す必要があるなど、交換がしやすいとは言えなかった。今回は筐体上部から専用工具で引き抜くだけで取り外せるようになった」と振り返る。また、配線不要という本体構造を活かし、本体を開けずにボタン交換が可能となった点も大きな特徴だ。

専用工具の爪とボタン外周部の爪を合わせて抉るように外す

5色展開の背景とユーザーの声

 KASSAIは5色展開となったが、その背景には前モデルのFK2での経験が活かされている。計良さんは「FK2を発売した時にホワイトを出してくれって、ホワイト!ってめちゃくちゃ言われたんです。FK2の予約販売を開始した時点で、白がもしあったら買いましたという声も多数ありました」と振り返る。

 FK2では展開しなかった白への要望を受け、ケラさんは「白が欲しいという声があったのを無下にするわけにはいかない。白とは違うんですけど、アルミの地色を生かして白系統を」とLunar Silver採用の経緯を説明した。

ここまでシンプルなデザインのアケコンは珍しいかもしれない

 Goldの採用についても特殊な経緯がある。ケラさんは「カプコンカップで展示したいとVARMILOに伝えたところ、『せっかく展示するんだったら目立つ色を』という話になり、主に展示用にGoldを作った。それ以降、2025年5月開催のCOMPUTEXとか、発売までに展示するイベントがあった中で、VARMILOがGoldを製品として出したいという思惑を強めた」と説明する。金色を縁起が良いと見なす中華圏メーカーのVARMILOの一声で商品化が決まったという。ただし「金は数が少ないです」と限定的な販売になることも明かした。

Goldのみ高価な価格設定だが、付属品も多い

携帯性に配慮した設計と付属品

 KASSAIは左右側面にショルダーベルト用のフックを設置し、ベルトも付属している。また、重量のあるアケコンでも移動に便利な折りたたみ式取っ手を本体に配置している。

ベルト取り付け用の金具(写真は開発機のため形状が異なる)

 ケーブルには巻き取り構造を採用し、コードを引っ張るだけで簡単に収納・固定できる。ケーブル巻き取り機能の採用理由について、ケラさんは「VARMILOの提案でもあったんですが、ふもっふのおみせが新商品を開発する際は『新しいものを作る』というところがコンセプト。その1つの要素として、巻き取りケーブルを使ってみようとチャレンジした」と説明する。

掃除機のリールコードさながらのケーブル

 様々な意見を踏まえ、ケーブル長は、多くの使用環境で十分な長さとなる2.1mを採用した。計良さんは「サンプルだと1.7mでしたが、フィードバックを受けて2.1mに変更した。それで足りない場合は、延長ケーブルを別に用意します」とさらなる追加オプションの用意も明かした。

新参メーカーの挑戦と今後の展開

 KASSAIの開発期間についてはケラさんは「非常に早いペースで進みました。今年5月の『EVO Japan』の時点ですでに販売の話をしていました。PC関連の見本市『COMPUTEX TAIPEI 2025』でVARMILOが受け取った意見と自分たちが受け取った意見も踏まえて、最終サンプルを作成しました」と説明する。

 新参メーカーならではのエピソードについて、ケラさんは自身も中学生からの格闘ゲームプレーヤーであることを明かしたうえで「格ゲーコミュニティに参入することが一番大変でした。歴史があるコミュニティで、さまざまな人たちのつながりが強いので、そこに入っていくのは難しい」と率直な言葉を吐露した。

 ユーザーとの対話についても積極的な姿勢を示している。ケラさんは「弊社が新参っていう部分もあり、ユーザーとの対話はもっとも努力すべき点だ」と、継続的なコミュニケーションの重要性を認識している。

 今後の展開について、ケラさんは「基本的に『開発』と『発売』の同じことを繰り返していくが、コンセプトとしては新しいものを作っていくこと。FK2を発売して、KASSAIが出るまでに複数の意見を取り入れて改良したように、今後も発売して意見をもらって改善したものを出すというアプローチは変わりません」と力説する。

 最後に今後の製品展開についても具体的な計画が示された。ケラさんは「三作目はレバーレスの新製品」の開発が進んでおり、「これ以外にもう1個出ます」と更なる新製品の存在も明かした。今後の発表が待たれる。

持ち運びやすさを考慮した設計・増設ボタン・フルアルミボディの重厚感 さらに独自のメンテナンス性まで――細部にこだわり抜いた、新しいアケコンです。
持ち運びやすさを考慮した設計・増設ボタン・フルアルミボディの重厚感 さらに独自のメンテナンス性まで――細部にこだわり抜いた、新しいアケコンです。
持ち運びやすさを考慮した設計・増設ボタン・フルアルミボディの重厚感 さらに独自のメンテナンス性まで――細部にこだわり抜いた、新しいアケコンです。
持ち運びやすさを考慮した設計・増設ボタン・フルアルミボディの重厚感 さらに独自のメンテナンス性まで――細部にこだわり抜いた、新しいアケコンです。
持ち運びやすさを考慮した設計・増設ボタン・フルアルミボディの重厚感 さらに独自のメンテナンス性まで――細部にこだわり抜いた、新しいアケコンです。
Index
記事URLをコピーしました