シャープ、プラズマクラスター技術でeスポーツのパフォーマンス向上効果を確認
シャープは3日、プロeスポーツチーム「QT DIG∞」の協力により、同社のプラズマクラスター技術がシューティングゲーム『VALORANT』プレイ時の選手のパフォーマンス向上に効果があることを確認したと発表した。

大学との共同研究で実証
シャープは西日本工業大学工学部の古門良亮准教授、九州産業大学人間科学部の萩原悟一教授、株式会社戦国と共同研究を実施した。プロeスポーツチーム「QT DIG∞」のVALORANT部門に属するプロ選手延べ10名を対象に、プラズマクラスター技術によるゲームプレイ時のパフォーマンスへの影響を検証した。
検証では、選手にプラズマクラスターの「照射あり」と「照射なし(送風のみ)」の状況でVALORANTの対戦を実施した。その際、選手にはプラズマクラスター照射の有無は伝えていない。

重要指標で大幅な改善を確認
検証の結果、「照射あり」の場合は「照射なし」の場合と比べ、相手に与えるダメージ量の指標であるADRがチーム平均で18上昇することを確認した。また、相手を倒した数と自分が倒された数の比率であるK/Dがチーム平均で0.17上昇した。
シャープは「試合の勝敗を分ける要素のうち、特に重要なADRにおいて大きな数値の上昇が確認できたことは、有意義な結果だと考えられる」と評価している。

詳細な検証条件と方法
検証は「QT DIG∞」のゲーミングオフィスで実施された。プラズマクラスターイオン濃度は被験者位置で約100,000個/cm3に設定した。5対5のチーム戦を1条件あたり3試合、異なるマップで行った。
試験は2回に分けて実施し、1回目は1条件目に送風のみ、2条件目にプラズマクラスターイオンありで実施した。2回目は条件を入れ替えて実施し、同じ回の試験では各条件間でマップや使用するエージェントを揃えて比較した。
評価は客観指標として対戦スタッツを、主観指標として被験者へのアンケートを実施した。客観指標では、ADR、K/D、KDAの3項目を条件間で比較した。主観指標では、集中力、冷静さ、直感力、視野、瞬発力、連携の良さ、操作性について0から100で評価してもらった。
主観的な実感でも向上を確認
アンケート結果では、送風のみと比較してプラズマクラスターイオンありの条件で、被験者が試合中にeスポーツに必要な能力の向上を実感していることが確認された。

専門家からのコメント
西日本工業大学工学部の古門良亮准教授は「熟練したeスポーツ選手は、オフィスワーカーの3~4倍程度のキーボードやマウス操作をおこなっており、その回数は1分間に500~600回とも言われる」と指摘した。その上で「プラズマクラスターイオンの導入後に、高水準のスキルを安定して発揮できるプロ選手において、一部のパフォーマンス指標に向上が見られた点は極めて注目に値する」と評価した。
「QT DIG∞」VALORANT部門のikedamaruコーチは「プラズマクラスターイオンを導入するだけで、選手の認知力や判断力が直に反映されるADRやK/Dが上昇したことは驚くべき結果」とコメントした。また「このスタッツの上昇力は、試合を決める1ラウンドの取得を左右するほどの効果があることを表していると思う」と述べた。
eスポーツ分野での新たな可能性
シャープはこれまで、プラズマクラスター技術が空間の浄化のみならず、空間にいる人に対し、認知能力や作業のパフォーマンス向上など、ポジティブな効果が得られることを、さまざまな実証を通じて確認してきた。
近年、eスポーツは若年層を中心に世界各国で高い人気を誇っており、最近では教育分野のほか、認知機能の維持・向上の面から健康分野においても注目が高まっている。シャープは今回の成果について「こうした分野でもプラズマクラスター技術が貢献できる可能性を示すもの」と位置づけている。
同社は今後もプラズマクラスター技術の検証を進め、新たな分野への応用の可能性を追求していくとしている。

