【レビュー】Logicool G PRO 2 LIGHTSPEED、8000Hz対応の実力と品質問題を検証
Logicool G PRO 2 LIGHTSPEEDは、2024年10月に発売されたゲーマー向けワイヤレスゲーミングマウスです。G PRO 2 LIGHTSPEEDは、前世代のG PRO LIGHTSPEED(以下、G PRO WIRELESS)の後継機として位置づけられています。本記事では、実際の使用感と性能について詳細にレビューします。


大きく変わった点
センサー性能の飛躍的向上
HERO 25KからHERO 2センサーへの変更で、解像度が25,600DPIから44,000DPIに向上しました。最大速度も400IPSから888IPSへと大幅にアップしています。数値だけでなく、実際のトラッキング精度も向上しており、高速なフリック操作でもより正確に追従します。

8000Hzポーリングレート対応
別売りの専用レシーバー使用時に8000Hzまで対応するようになりました。従来の1000Hz(1ms)から0.125msまで応答速度が短縮され、特にFPSゲームでの微細な操作において違いを体感できます。


バッテリー持続時間の延長
48~60時間から60~95時間へと大幅改善しました。ライティングオフ時は95時間まで持続するため、充電頻度を大幅に減らせます。
充電の利便性向上
Micro USB Type-BからUSB Type-Cへの変更は地味ですが重要な改善です。充電ケーブルの統一化と耐久性向上により、日常使用での利便性が大幅に向上しました。

変わらなかった点(継承された良さ)
基本設計の完全継承
サイズ(125×63.5×40mm)、重量(約80g)、ボタン数(5個)がすべて同一です。この継承により、既存のG PRO LIGHTSPEED Wirelessユーザーは違和感なく移行できます。左右対称デザインも維持され、様々な持ち方に対応する汎用性は健在です。
LIGHTSPEEDワイヤレス技術
接続の安定性と低遅延を実現するLIGHTSPEED技術は継承されています。無線接続の信頼性は従来通り高いレベルを維持しています。
ライティング機能の維持
ロゴ部分のRGBライティングは継続されています。「マウスを光らせる」という差別化要素は変わらず、ゲーミング環境の演出に貢献します。




価格と市場での位置づけ
G PRO 2 LIGHTSPEEDの直販価格は、前モデルの14,520円から19,360円へと約33%の値上げとなりました。一見すると大幅な価格上昇に感じられますが、搭載された技術革新を考慮すれば、この価格設定は妥当な範囲内と言えるでしょう。
本製品は、ロジクールが長年培ってきたゲーミングマウスの「定番形状」を継承しています。しかし、現在の市場状況を見ると、同社のPRO X SUPERLIGHTやPRO X SUPERLIGHT 2の方がより軽量で、特別なこだわりがない限りは「PRO X SUPERLIGHT 2が最も無難な選択肢」として推奨されることが多いのが実情です。

そのため、G PRO 2 LIGHTSPEEDは現在「ハイスタンダード」なポジションに位置づけられており、確かな性能を持ちながらも、最軽量を求めるユーザーには他の選択肢が優先される傾向にあります。

実際の使用感とパフォーマンス
操作感の継承
G PRO 2 LIGHTSPEEDの80gという重量は、標準的で誰でも使いやすい絶妙なバランスを実現しています。ただし、主流のゲーミングマウスと比較すると、Razer Viper V3 Proの54gやG PRO X SUPERLIGHT 2の60gと比べて、特別軽量とは言えない数値です。
それでも、軽すぎず重すぎないこの重量設定により、安定した操作性を確保しつつ長時間使用でも疲労を感じにくい仕上がりとなっています。左右対称デザインを採用し「どんな持ち方にもフィットする」設計で、手首から中指の先まで20cmの手のサイズでちょうど良いです。

カスタマイズ性の維持
ロジクールが長年重視してきたカスタマイズ性についても、しっかりと継承されています。サイドボタンの付け替え機能は健在で、右利き・左利きを問わず、ユーザーの利き手や使用スタイルに合わせた柔軟な設定が可能です。
また、専用ソフトウェア「G HUB」を通じた詳細設定機能も充実しており、DPI設定からボタン割り当て、ライティング効果まで、ユーザーの好みに応じて細かくカスタマイズできます。左利きユーザーへの配慮も従来通り提供されており、多様なユーザーニーズに対応する姿勢は評価に値します。


クリック感とボタン配置
メインクリックボタンには、LIGHTFORCEハイブリッドスイッチが採用されています。このスイッチは「メカニカルスイッチのクリック感と、オプティカルスイッチの高速・高精度を両立した」革新的な技術です。
実際の使用感については評価が分かれており、「クリックの反発感はちょうどよく」感じるユーザーがいる一方で、「クリック感は若干硬め」と感じるユーザーもいます。個人的には「従来のメカニカルスイッチよりクリック感は若干硬め」と感じました。


サイドボタンはマグネット式を採用し、左右どちらにも配置可能な設計となっています。「サイドボタンはゲーム中でも押しやすい大きさ」に設計されており、実用性が高いと評価します。左利きユーザーへの配慮も含め、幅広いユーザーのニーズに対応した柔軟な設計と言えるでしょう。


ホワイトモデルの黄ばみ問題
G PRO 2 LIGHTSPEEDのホワイトモデルに限る現象だと思いますが、わずか1か月程度の使用期間、実使用時間1日あたり4-5時間という短時間で、マウス表面に除去不可能な黄ばみが発生しました。
問題の深刻さ
この黄ばみは一般的なプラスチック製品の経年劣化とは明らかに異なります。通常であれば数か月から数年かけて徐々に進行する変色が、本製品では使用開始からわずかな期間で顕著に現れています。中性洗剤などによる清拭を試みましたが、変色は改善されませんでした。
発生要因の分析
黄ばみは主に手が接触する部分で顕著に確認され、通常のプラスチック製品では短時間でこのような化学反応は発生しないため、素材の品質や表面処理に根本的な問題があると推測されます。
購入時の注意点
ホワイトモデルを検討している場合は、この黄ばみリスクを十分に認識する必要があります。長期間使っていくとより一層、黄ばみなどの汚れが目立ちそうなので、ブラックやマゼンタにするという判断は、本製品の場合極めて賢明な選択です。性能面では優秀な製品ですが、この致命的な品質欠陥により、特にホワイトモデルの購入は慎重に検討することを強く推奨します。




入力遅延
- 入力遅延測定の条件と免責事項等について(クリックで開きます)
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ゲーミングマウスの性能評価において、入力遅延の測定は重要な要素です。当サイトでは、NVIDIAが開発した遅延測定ツールLDAT(Latency Display Analysis Tool)を使用して、マウスの入力遅延を計測しています。LDATは、ゲームやアプリケーションにおけるクリックからマズルフラッシュまでの遅延を、迅速かつ正確に測定するツールです。
測定の仕組みは、光センサーをディスプレイ表面に取り付け、マズルフラッシュを検出します。測定したいマウスが実際にクリックされてからマズルフラッシュ発光までの時間を高精度で計測することで、マウスの実際の応答性能を客観的に評価できます。当サイトではこの測定における最小値を掲載しています。
ただし、マウスを総合的に評価する際は、入力遅延だけでなく、前述の形状、重量、ボタン配置なども重要な判断材料となります。LDATの測定結果と他の要素を総合的に分析することで、より自分に適したゲーミングマウスを選択できるでしょう。
他のゲーミングマウスの入力遅延データは、こちらで見れます【レビュー】Logicool G PRO 2 LIGHTSPEED、8000Hz対応の実力と品質問題を検証免責事項等について免責事項・著作権
Mouse Firmware:31.4.12 Receiver Firmware:7.2.11
簡単にわかる性能評価
全体的な性能レベル
G PRO 2 LIGHTSPEEDは、3.8ms~4.6msという結果で、これはかなり優秀な性能です。ゲーミングマウスとして十分に速く、プロレベルでも使える性能といえます。
一番速い設定はどれ?
データを見ると、ハイブリッドモード・ワイヤレス8Kで3.8msが最速でした。これは測定された全マウスの中でもトップ10に入る優秀な結果です。
他のマウスとの比較
最上位マウスとの比較
最速グループ(3.3ms~3.7ms)
- G PRO X SUPERLIGHT 2 DEX:3.3ms~4.3ms
- G Pro wireless:3.5ms~3.8ms
- G PRO X SUPERLIGHT 2:3.7ms~4.6ms
G PRO 2 LIGHTSPEEDの3.8msは、これらの最上位マウスとほぼ同じレベルの性能です。
従来モデルとの比較
G Pro wireless(前の世代)と比べると
- G Pro wireless最速:3.5ms
- G PRO 2 LIGHTSPEED最速:3.8ms
わずか0.3msの差で、実際のゲームではほとんど違いを感じないレベルです。
接続方式による違い
有線 vs ワイヤレス
有線接続
- オプティカルモード:3.8ms
- ハイブリッドモード:4.2ms
ワイヤレス接続
- 最速:3.8ms(ハイブリッド8K)
- 最遅:4.6ms(ハイブリッド1K)
面白いことに、ワイヤレスの方が有線より速い設定があります。これは「LIGHTSPEEDワイヤレス技術により、遅延のない快適な操作性を実現」という技術の成果です。
ポーリングレート別の性能
8Kポーリングレートの効果
G PRO 2 LIGHTSPEEDの売りである8Kポーリングレートでは
- オプティカルモード8K:4.3ms
- ハイブリッドモード8K:3.8ms(最速)
ハイブリッドモード8Kが最も速く、最大8KHzのポーリングレート対応の恩恵が現れています。
設定選びのコツ
データから見ると
- 速さ重視:ハイブリッドモード・ワイヤレス8K(3.8ms)
- 省電力重視:ハイブリッドモード・ワイヤレス1K(4.6ms)
実際のゲームでの影響
FPSゲームでの実用性
3.8msという性能は、「VALORANTやCS2のようなヘッドショット1発でプレイヤーを倒せるFPSでは特に恩恵が大きく」という状況で十分に活用できるレベルです。
プロレベルでの使用
「プロ向けに開発された」製品として、実測値でもプロが求める性能基準をクリアしています。多くのプロが使用するG PRO X SUPERLIGHTシリーズと同等の性能を持っています。
購入時の判断材料
性能面での評価
- 優秀:全体的に上位クラスの性能
- 安定:どの設定でも4.6ms以下で安定
- 選択肢豊富:用途に応じて最適な設定を選べる
他製品との比較での位置
「FPSプロの使用率No.1!最軽量ワイヤレスモデル」と評されるSUPERLIGHTシリーズとほぼ同等の入力遅延性能を持ちながら、「両利き対応のゲーミングマウス」という独自の特徴も持っています。
総評
技術的進歩と実用性を両立した優秀なアップデート
G PRO 2 LIGHTSPEEDは、前世代の基本設計を継承しつつ重要な技術革新を実現した製品です。HERO 2センサー、8000Hzポーリングレート対応、USB Type-C採用、バッテリー持続時間延長など、ユーザーが求める改善を的確に反映しています。
性能評価:プロレベルの実力
入力遅延性能では3.8ms~4.6msを記録し、現在のゲーミングマウス市場で上位クラスの性能を実現。特にハイブリッドモード・ワイヤレス8Kでの3.8msは、G PRO X SUPERLIGHT 2シリーズと同等レベルです。
センサー性能はHERO 25KからHERO 2への進化により、最大44,000 DPI、888 IPSを実現し、高速なフリック操作でもより正確なトラッキングを提供します。
市場での位置づけ
80gという重量は「特別軽量とは言えない」ものの、安定した操作性と長時間使用での疲労軽減を実現。PRO X SUPERLIGHT 2(60g)など軽量モデルが存在する中で、「ハイスタンダード」なポジションを確立しています。
RGBライティング機能と両利き対応の左右対称デザインにより、軽量性を最優先としない層への差別化を図っています。
黄ばみ問題
ホワイトモデルの致命的欠陥として、わずか1か月程度の使用で除去不可能な黄ばみが発生する問題が発生しています。これは約20,000円の高価格帯製品として製品価値を著しく損なう深刻な品質問題です。
価格設定の妥当性
前モデルから約33%の価格上昇(14,520円→19,360円)は、搭載された技術革新を考慮すれば妥当な範囲内です。8000Hzポーリングレート対応やHERO 2センサーなどの改善点を総合的に判断すると、技術的価値に見合った価格設定といえます。
購入推奨
推奨ユーザー:8000Hzポーリングレートや最新センサー性能を求める競技プレイヤー、両利き対応やRGBライティングを重視するユーザー
他の選択肢を検討すべきユーザー:最軽量を最優先とする方(PRO X SUPERLIGHT 2推奨)、ホワイトモデル希望者(黄ばみリスクのためホワイトモデルは非推奨)
最終評価
技術的には非常に優秀で、プロレベルでの使用に十分対応できる実力を持つ製品です。しかし、ホワイトモデルの黄ばみ問題は製品の信頼性を大きく損なう欠陥であり、重量面での競争力不足も課題です。確かな性能を持ちながらも、購入時には用途・予算・品質リスクを十分に検討する必要があるでしょう。
[サンプル提供:Logicool G]










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