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適切なゲーミングマウスパッドの選び方

布製ゲーミングマウスパッドは消耗品です。一方、ガラスや金属などのハードタイプのマウスパッドは半永久的に使用できます。

ゲーミングマウスパッドを選ぶ際、摩擦係数や硬度などの定量化されたデータは重要な指標となります。これらの測定値はマウスの動きや操作性に直接影響を与えるため、客観的な比較基準として非常に有用です。マウスパッドの大きさも重要な要素で、大きいマウスパッドはマウスの可動域を広げます。興味深いことに、測定データによると、同じ製品名でも無地の色違いやプリント物では摩擦係数に有意な差があることがわかりました。

  • 静摩擦係数:低値はスムーズな動きを、高値は精密な制御を実現します。
  • 動摩擦係数:滑りのスピード、バランス、コントロール性能に影響を与えます。
  • 硬度:柔らかいパッドは精密なコントロールを、硬いパッドは一貫したスピード性能を提供します。
  • 大きさ:大型パッドは低感度設定での広範囲な動きに適し、小型パッドは高感度設定や限られたスペースに適しています。
  • 巻き癖:巻き癖のないマウスパッドは開封後すぐに使え、平らな状態を維持しやすいです。
  • 端のステッチ加工:マウスパッドの耐久性を高め、端のほつれを防ぎます。丁寧でないステッチ加工は、マウスが端に触れた際に乗り上げ、操作に悪影響を与えます。
  • 入手性:特に布製マウスパッドは消耗品のため、ユーザーのポテンシャルを最大限に引き出すマウスパッドが常に入手できることが重要です。コレクション目的なら問題ありませんが、常用目的の場合は数量限定品や再入手困難な製品は避けるべきです。
  • 価格:マウスパッドは消耗品です。頻繁な買い替えによる多額の出費を避けるため、価格は重要な要素です。
  • デザイン:魅力的なデザインのマウスパッドはゲームに対するモチベーションを向上させる効果が期待できます。

しかし、これらの数値や特性だけでは完璧な判断はできません。マウスパッドの選択は最終的に個人の好みに大きく左右されるためです。プレイスタイル、ゲームジャンル、腕の置き方、デスクのスペースなど、個人差の大きい要素が多く関わってきます。

したがって、最適なマウスパッドを見つけるには、定量的なデータを参考にしつつも、実際に試用してみることが不可欠です。多くのプロゲーマーが様々なサイズや材質のパッドを試した上で自分に合ったものを選んでいるように、自分の感覚を重視して選択することも重要です。

布製マウスパッドは消耗品であることを念頭に置く必要があります。使用頻度や環境によっては、定期的な交換が必要になる場合があります。そのため、製品価格も選択の際の重要な要素となります。

ガラスマウスパッドの進化も近年目覚ましいです。10年前のガラスマウスパッドはスピード性能一択でしたが、最近のガラスマウスパッドはスピード・バランス・コントロールなど、性能に明らかな違いが出るほど進化しています。

結論として、定量的なデータや物理的な特性は理想のマウスパッドを見つけるための選択指針として有用ですが、最終的な判断は実際の使用感に基づくべきです。失敗を恐れず様々なタイプやサイズを試してみること、そして価格と入手性のバランスを考慮することが、自分にぴったりのマウスパッドを見つける最良の方法といえるでしょう。

ゲーミングマウスパッドの科学的評価

ゲーミングマウスパッドの選択は、これまで主に個人の好みや感覚に基づいて行われてきました。しかし、この主観的なアプローチには限界があります。

Gear MetriXでは、客観的かつ科学的な方法でマウスパッドの性能を評価することに重点を置いています。最新の測定技術と精密機器を駆使し、摩擦係数、表面の均一性、耐久性などの要素を定量的に分析しています。

この革新的なアプローチにより、ユーザーは自分のプレイスタイルや要求に最適なマウスパッドを、データに基づいて選択することができます。これこそが、Gear MetriXのレビューが他と一線を画す理由です。

ゲーミングマウスパッドの評価について

マウスパッドの摩擦測定は、1月から6月および10月から12月の期間にスムーズに実施できます。

ただし、7月初旬から9月末までは季節の変化により高温多湿となり、室温25℃・湿度50%の測定環境の維持が困難です。そのため、この期間中はマウスパッドの摩擦測定に時間を要するか、場合によっては実施できないこともあります。予めご了承ください。

静動摩擦力(係数)の測定

マウスパッドの滑り性を評価するため、多機能型静動摩擦測定機 TL201Tt を使用しています。測定条件は以下の通りです

静動摩擦力(係数)の測定条件等
  • 湿度:50%/60%
  • 温度:25±2℃
  • 測定時の垂直荷重:150 g
  • 測定時の摺動速度:30 mm/sec
  • デフォルト摺動回数:2回(往復)
  • 摺動距離:60 mm(往復)
  • デフォルトサンプリングレート:1000 msec(1秒間に1000ポイント)
  • 治具:特注(製作協力:HID-LabsNitro Factory-devices、順不同)
  • ポストプロセスアプリケーション開発協力:HID-Labs
  • 使用ソール:ESPTIGER マウスソール Arc2 汎用版
Q
ESPTIGER マウスソール Arc2 汎用版を使用している理由

ESPTIGER マウスソール Arc2 汎用版を母材に採用した理由は、以下の通りです

  • PTFEを使用(ゲーミングマウスに必須の、摺動性と耐熱性に優れた高機能樹脂)
  • 2023年8月時点で入手可能なマウスソール(スケート)中、最高の耐久性
  • 布製マウスパッドで30,000回以上(往復)の摺動後も性能低下がほぼなく、高精度な摩擦力測定が可能
  • 約1,000円で40個入手可能
  • 他社の安価な80~160個入り製品と比べ、バリや異常形状が少なく製造品質が優れている
  • 入手性が高い

汎用形状(丸形)を選んだ理由は以下の3点です

  • マウスパッドにかかる乗り越え抵抗が全方向で均一
  • 荷重によるマウスパッドの沈み込みが均一
  • 測定治具の開発が容易
Q
測定時の湿度が50%と60%である理由

人間が快適に過ごせる湿度は40%から60%の間とされています。この範囲内から、測定時の湿度を50%と60%に設定しました。湿度がこの範囲を外れると、季節にもよりますが、さまざまな要因により健康被害のリスクが高まります。もし普段過ごしている環境がこの範囲外である可能性があれば、環境の湿度に注意を払うことをおすすめします。

Q
荷重が150gである理由

荷重を150gにした理由は3つあります。

1つ目は、マウス操作時の荷重に個人差があることがわかったためです。友人や知人の協力を得て簡単な調査を行ったところ、マウス本体重量と操作時の荷重の合計は、フェザータッチで約250g、中程度の荷重で約600g、強い荷重で約900gでした。この結果から、中央値である600gを想定し、マウスに汎用ソールを4枚装着した場合、1枚あたりの荷重は150gが最適ではないかと考えました。

2つ目は、測定機の制約によるものです。使用している測定機の最大荷重が500gという条件下で、ソール1枚あたり300g(合計1,200g)から500g(合計2,000g)の荷重は実際の使用環境と大きく異なると判断し、事前測定後に選択肢から除外しました。

3つ目は、実際の使用環境を想定した測定結果に基づいています。100g、150g、200g、250gの荷重で複数種類のマウスパッドを測定したところ、150gの荷重が初動の重さ(最大静止摩擦力)と滑り(平均動摩擦力)の波形や数値データを最も明確に示すことができました。そのため、150gを採用しました。

厚み

マウスパッドの厚さを正確に評価するため、テクロック製シックネスゲージSM112を採用しています。このシックネスゲージは、高精度な測定が可能で、0.01mmの精度で厚さを計測することができます。マウスパッドの厚さは、使用感や耐久性に大きく影響するため、この正確な測定は製品の品質評価において非常に重要です。SM112は、その高い精度と信頼性により、さまざまなマウスパッド間での厚さの比較を可能にし、製品の一貫性を確保するのに役立っています。

硬度

マウスパッドの硬度を評価するためにデュロメータを採用しています。

布製マウスパッドの測定

布製マウスパッド測定には、精密な硬度測定が可能なテクロック製デュロメータGS-743G(タイプE2)を使用しています。このデュロメータは、ゴムや軟質プラスチックなどの柔らかい材料の硬度測定に適しており、マウスパッドの表面特性を正確に評価するのに理想的な機器です。測定の際は、一定の圧力で押し当てることで、マウスパッドの硬度を定量的に分析し、異なる製品間での比較を可能にしています。

Topic:マウスパッドの摩擦係数と摩擦力
Topic:マウスパッドの摩擦係数と摩擦力
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