急須からお茶の滝が流れるメタバース、老舗茶屋が「V茶」で若者開拓
静岡県で茶葉の製造販売を行う仲村製茶が、世界最大級のメタバースイベント「バーチャルマーケット2025 Summer」に初出展する。同社は出展に合わせて、VRやゲームユーザー向けに特化した日本茶「V茶(ぶいちゃ)」を新開発した。
同イベントは株式会社HIKKYが主催し、12日から27日までメタバース会場で開催される。また26日・27日には秋葉原でリアルイベントも実施される。仲村製茶は両会場でPRと試飲・販売を行う。
仲村製茶は「お茶のことならなんでもやる!」をモットーに、これまでOEMを中心に事業を展開してきた。近年は新たな挑戦としてBtoC市場に参入している。日本茶市場には既存の有名ブランドが存在する。消費者の支持を獲得する難しさを痛感する中で、同社は従来とは異なるターゲット層へのアプローチを模索してきた。
バーチャルマーケットへの出展は、ゲームやVRに親しみのある社長の娘からの提案がきっかけだった。Vketのユーザー層と同社が狙うターゲットが一致していることに加え、アバターでメタバース空間で活動する人々の新しい文化に興味を抱いたことが出展の決め手となった。
新開発した「V茶」は、高カフェインでスッキリとした味わいの水出し日本茶だ。ゲーマーやVRユーザーは「甘い飲み物よりもスッキリする飲み物を好む」「カフェインの多いドリンクで気分を切り替え、趣味に集中する時間を継続したい」といった傾向がある。同社はこうした特性に着目し、ゲームやVRのお供に最適なお茶を開発したという。
企業出展会場の一つ「パラリアル東京」内の出展ブースでは「V茶」のPRを実施する。さらに巨大な急須から流れるお茶の滝を浴びながら、湯呑みに入って写真が撮れるユニークなフォトスポットも設置する。26日・27日に秋葉原で開催されるリアルイベント「VketReal 2025 Summer」の出展ブースでは、V茶の試飲・購入が可能だ。
仲村製茶代表の増元氏は「サブカルチャーでハイカルチャーを語る」というコンセプトを掲げている。若い世代にも日本の伝統文化に興味を持ってもらえるようなアプローチを模索しているという。増元氏は「今回の出展を通じ、お茶を日常のお供のドリンクとして選択肢の一つに加えていただけるようになれば」とコメントした。
