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Razer、シンガポールに「AIセンター・オブ・エクセレンス」を設立

Ernest

 Razerは8月4日、シンガポールにフラグシップとなる「AIセンター・オブ・エクセレンス」を設立したと発表した。同社のグローバルAI戦略の第一段階として位置づけられ、今後欧州および米国にも順次AI拠点を展開する計画だ。

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急成長するAIゲーム市場に対応

 この戦略的拡張は、急成長するゲーム業界の動向に対応したものだ。業界全体は2033年までに4,000億米ドル規模への成長が見込まれる。なかでもAIゲーム分野は280億米ドルまで拡大し、年平均成長率28.4%という高い伸びが予測されている。

 Razerのチーフ・ストラテジー・オフィサーであるリ・メン・リー氏は「RazerのグローバルAIセンター・オブ・エクセレンスは、AIゲーム分野への戦略的投資だ。研究、人材、製品イノベーションを進めることで、ゲームの未来をリードしていく」と話している。

シンガポール政府機関との連携で150名を採用予定

 新拠点は、シンガポール経済開発庁(EDB)など政府機関による合同オフィス「Digital Industry Singapore(DISG)」の支援を受けて設立された。

 RazerはDISGの支援により、シンガポール国内でAIエンジニア、データサイエンティスト、ゲーム開発者など150名のAI専門人材を採用する予定だ。同社はAI職種向けにスキル重視・高エンゲージメント型の採用プロセスを導入し、迅速かつ効率的な選考体験を提供するとしている。

 DISGのエグゼクティブ・ディレクター兼統括責任者フィルバート・ゴメス氏は「RazerがAIセンター・オブ・エクセレンスをシンガポールに開設したことは、デジタル先進分野におけるAI開発拠点としてのシンガポールの魅力を改めて示すものだ」と評価した。

独自AIソリューション「Razer Game Co-AI」など展開

 同社のAIソリューション群の中核となるのが「Razer Game Co-AI」だ。プレイヤーの行動に応じたリアルタイムの戦術的コーチングを行う生成AI搭載のコパイロットで、より動的かつパーソナライズされたゲーム体験を実現する。

 また「Razer QA Companion(QA Co-AI)」は、品質保証テストとバグ検出を自動化するAIソリューションだ。QA時間を最大50%短縮でき、ゲーム品質の向上、生産コスト削減、市場投入までの時間短縮に貢献する。現在AAA、AA、インディースタジオによってベータテスト中で、近々AWS Marketplaceを通じてグローバルローンチする予定だ。

欧州・米国拠点では「WYVRN」プラットフォームを拡大

 今後設立される欧州および米国のAI拠点では、シンガポールの基盤を活かしつつ、地域ごとのイノベーションと人材育成に注力する。特に欧州拠点では、Razerの包括的開発者向けプラットフォーム「WYVRN」の拡大をリードする予定だ。

 WYVRNプラットフォームは、Razer AI Game Tools、Razer Sensa HD Haptics、Razer Chroma RGB、THX Spatialなど同社の技術群へのアクセスを一元化する。開発効率の向上、創造性の強化、プレイヤーの没入体験の向上を支援する仕組みだ。

 2005年に設立されたRazerは、カリフォルニア州アーバインとシンガポールの2か所に本拠地を構え、世界各地の19か所に事業所を展開している。2025年に20周年を迎える同社は、このAI戦略によってゲーミング業界でのさらなる成長を目指している。

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