適切なゲーミングマウスパッドの選び方

これまでのゲーミングマウスパッド選びは、主観的な評価、つまり人の好みや感じたことをもとに行われていた。しかし、これでは使い手によって評価がばらつき、ミスマッチが発生する可能性が高かった。

そこで我々は、人間の感覚だけに頼ることなく、さまざまな測定装置を用いてゲーミングマウスパッドの性能を定量的に評価することにした。もしもあなたがゲーミングマウスパッド選びに迷っているなら、その条件さえ明確にしておけば、本当に求めているものに辿り着けるはずだ。

上記が、Gear MetriXのゲーミングマウスパッドレビューが他のコンテンツとは異なる点である。

ゲーミングマウスパッドの評価について

厚さ

マウスパッドの厚さを評価するためにテクロック製シックネスゲージSM112を採用している。

テクロック製シックネスゲージSM112
  • 端から12.0mm以上
  • 測定子が触れてから1秒以内に読み取り

硬度

マウスパッドの硬度を評価するためにデュロメータを採用している。

布製マウスパッドの測定

布製マウスパッド測定は、テクロック製デュロメータGS-743G(タイプE2)を使用している。

筆者が測定した200種類以上の布製マウスパッドの硬度データベースは、Gaminggear.jpにまとめてあるので気になった方は一度ご覧いただきたい。

GamingGear.jp | ゲーミングマウスパッド(布製)硬度リスト
GamingGear.jp | ゲーミングマウスパッド(布製)硬度リスト
デュロメータGS-743G(タイプE2)
  • 厚さ10mm以上
  • 端から12mm以上
  • 読みとり時間は押針と加圧面が触れてから1秒以内
  • 測定回数と測定値のまとめは、6mm以上離れた5か所の中央値
  • 温度条件は23±2℃
  • 硬度のばらつき具合は取得できたデータから分散を求めて、独自の基準でSからEの6段階評価でランク付け(SからEランクの順番で卓越して優秀・非常に優秀・優良・良好・やや不十分・不十分と判定)

ハードマウスパッド(ガラス・金属・セラミック・プラスチックなど)の測定

ハードマウスパッド測定は、テクロック製デュロメータ GS-719N(タイプA)を使用している。

デュロメータGS-719N(タイプA)
  • 厚さ6mm以上
  • ワーク端から12mm以上
  • 読みとり時間は押針と加圧面が触れてから3秒後
  • 測定回数と測定値のまとめは、6mm以上離れた5か所の中央値
  • 温度条件は23±2℃
  • 硬度のばらつき具合は取得できたデータから分散を求めて、独自の基準でSからEの6段階評価でランク付け(SからEランクの順番で卓越して優秀・非常に優秀・優良・良好・やや不十分・不十分と判定)

硬度の分散別ランク分けと評価

以下の表は測定した硬度を基に分散を求めて、数値別にランク付け及び評価したGear MetriXが独自のものである。

硬度の分散ランク評価
0.3未満S(分散0.3未満)卓越して優秀
0.3以上0.6未満A(分散0.3以上0.6未満)非常に優秀
0.6以上1.0未満B(分散0.6以上1.0未満)優良
1.0以上1.4未満C(分散1.0以上1.4未満)良好
1.4以上1.8未満D(分散1.4以上1.8未満)やや不十分
1.8以上E(分散1.8以上)不十分

静動摩擦力(係数)の測定

マウスパッドの滑り性を評価するために静動摩擦測定機を採用している。

静動摩擦測定機
  • 湿度 50% / 60%
  • 温度 25±2℃
  • 最大垂直荷重 500 g
  • 測定時の垂直荷重 150 g (2023年12月以降)
  • 測定時の摺動速度 30 mm/sec (2023年12月以降)
  • 最大摺動回数 10000回(往復)
  • デフォルト摺動回数 2回(往復)
  • 摺動距離 60 mm(往復)
  • デフォルトサンプリングレート 1000 msec(1秒間に1000ポイント)
  • 治具 特注 製作協力:HID-Labs,Nitro Factory-devices (順不同)
  • 母材 ESPTIGER マウスソール Arc2 汎用版

測定時の湿度が50%と60%である理由

大前提として人間が快適に過ごせる湿度が40%から60%の間だとされている。季節にもよるが、それ以下でもそれ以上でもさまざまな要因によって、健康被害が発生するリスクが高まる。仮にそのような環境で過ごしている可能性があるなら、今一度普段過ごしている環境の湿度を気にかけていただきたい。

東京都福祉保健局『健康・快適居住環境の指針』
東京都福祉保健局『健康・快適居住環境の指針』

測定湿度が50%である理由は、夏も冬も人間が快適に過ごせる湿度の40%から60%のちょうど間が50%であり、スイートスポットはそこにあると判断したからである。

測定湿度が60%である理由は、人間が快適に過ごせる湿度の上限がそれであることがひとつ。天気や季節によって湿度変化とマウスパッドの滑り性の変化が発生することがSNS等の書き込みやレビューによって知られているが、主観的なレビューのみであり、どの程度変化するのか定量化されたデータはおそらく存在しない。それを定量化して比較するために、測定湿度60%を設けた。

垂直荷重が150gである理由

デフォルト垂直荷重を150gにした理由は、2つある。

1つ目は、50人以上のゲーマーを対象に調査した結果、マウスの重量込みでマウスパッドに対して垂直にかける荷重は、人それぞれであることが分かった。

例えば、マウスはただ握るだけでほとんどマウスパッドに荷重をかけることなく表面を常に撫でるようにマウスを操作する人もいれば、マウスを握りつつ常にマウスパッドに垂直に荷重をかけながらマウスを操作する人もいるのである。

2つ目は、母材の ESPTIGER マウスソール Arc2 汎用版を使用して、プレ測定時に100g,150g,200g,250g,500gの5パターンで測定した際、軽すぎるとマウス本体と手や腕の自重と加重を合わせた荷重とは程遠く、まるでマウス本体だけでマウスパッド表面をなでるような、最大静摩擦力と平均動摩擦力のメリハリがない正弦波が表れるため、実際の使用環境と条件とは異なると判断した。

逆に荷重が重すぎるとマウスパッドの硬度によっては、マウスパッドが異常に沈み込み過ぎてしまい、想定される環境の荷重と異なることは明白であり、この条件で測定する理由は現実的ではないと判断した。

上記、2つの要素を考慮しつつ、適切なサンプルデータを取得可能なスイートスポットが、荷重150gであった。

余談だが、アモントンの第一法則(アモントン=クーロンの法則)によって「摩擦力は垂直荷重に比例する」

アモントン=クーロンの法則
  1. 摩擦力は垂直荷重に比例する。(摩擦力 / 荷重 = 摩擦係数 : 一定)
  2. 摩擦力は見かけの面積に依らない。
  3. 最大静摩擦力は動摩擦力よりも大きく、動摩擦力は速度によらず一定である。

母材がESPTIGER マウスソール Arc2 汎用版である理由とその他

母材にESPTIGER マウスソール Arc2 汎用版を採用した理由は、以下の通りである

  • PTFEである(ゲーミングマウスに必ず採用されている摺動性と耐熱性に優れた高機能樹脂)
  • 2023年8月時点で手に入るマウスソール(スケート)の中で、高耐久性に最も優れる
  • 布製マウスパッドに対し、30000回(往復)以上摺動しても性能低下がほぼないので、精度の高い摩擦力測定ができる
  • 1000円程度で40粒手に入る
  • 他社製の安価で80粒から160粒用意されている製品と比較して、バリや異常形状などの製造品質が優れている
  • あらゆる場所で手に入る

汎用形状(丸形)である理由は以下の3点である

  • どの方向に動かしてもマウスパッドにかかる乗り越え抵抗が均一
  • 荷重によるマウスパッドの沈み込みが均一
  • 測定治具の開発が容易

センサー相性

マウスセンサーとマウスパッドの相性を確認するにあたって、CNC機材を特別に改造した機器を採用している。測定条件は以下の通りである

  • 移動量 1inch
  • 最大速度 300mm/min
  • 加速度 200mm/s^2
  • DPI 800
  • PollingRate 1000Hz
  • リファレンスマウスとセンサー
    • HERO 25K (Logicool G PRO X SUPERLIGHT)
    • Focus Pro 30K (Razer Viper V2 Pro)
    • Finalsensor (Finalmouse Starlight-12)
    • Focus + (Razer Viper Ultimate)
    • PAW 3395 (Pwnage StormBreaker)
    • PMW 3389 (ZYGEN NP-01)
    • PAW 3370 (Endgame Gear XM2we)
    • PMW3360 (BenQ ZOWIE ZA13-C)
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